第2章では、地球の温暖化は人類の生存すら不可能にしていく深刻な問題であることを述べました。人類は「低炭素社会」をめざして何としても温暖化の進行を食い止めなければならないことがおわかりいただけたと思います。
第3章では、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動に別れを告げ、「循環型社会」を作っていかなければならないことを述べました。
第4章では、豊かな生物多様性は様々な恵みを人間にもたらす源泉であるとともに、人間のみならず、すべての生物の生存基盤 であることを述べました。「自然共生社会」を作る必要性を御理解いただけたと思います。
それぞれの章で述べた地球環境の危機は、それぞれが単独ではなく相互に悪循環しながら進んでいるのです。この危機に正面から対応し、その解決を図ることによって人間社会の発展と繁栄を確保しなければなりません。そのためには、健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域まで保全されるとともに、将来世代にも継承することができる社会を作っていくべきであると考えます。それが「持続可能な社会」と呼ばれるものです。
めざすべき持続可能な社会は、「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の3つの側面を持ちます。そして地球によって生かされているという気持ちを持ちながら、3つの側面の統合的な取組を展開していくことが不可欠です。自然との共生を図りながら、人間社会における炭素も含めた物質循環を自然そして地球の大きな循環に沿う形で健全なものとし、持続的に成長・発展する社会の実現を図るべきです。
人類の活動が質量ともに拡大し、環境問題が一層複雑化・多様化している中、持続可能な社会の実現は決して容易ではないでしょう。しかし、健全で恵み豊かな環境を将来世代へと継承していくためには、環境保全を願う気持ちを一つに束ねて、一人一人の取組の輪を広げ、力強く後押していくことが今求められているといえましょう。
私は、こうした認識を常に持って、今後も全力で活動を続けてまいる所存です。
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